天日にほすもの

 マンションの一階に小さな専用庭がある。いつの頃かそこに近所の猫たちが遊びにくるようになった。鉢植えの手入れに夢中になっていると、いつの間にかフェンスの下から忍びこんできて、私の作業をじっと見つめている。
植木鉢の受け皿に、古い土を入れて天日乾ししていたら猫もその中にすっぽり入り込んで、土といっしょにほかほかになってたりして、愛らしいことこの上ない。
フェンスの隙間が狭いせいか、遊びに来る猫はみな中猫以下。近所のちび猫たちはみな、幼少時にうちの庭で遊び、やがて巣立っていくのである。……などと目を細めて好き放題させていたら、最近庭のあちこちに糞(ふん)(以下くそではなく、ふんと読んで下さい)をするようになった。
なんか臭いなーと思っていると、庭のそこここから、黒い固まりが出現する。お気に入りの熊手でエイやっ!とうまい具合にすくい取って、ころんと捨てればそれですむ話だった。
 だが、あるとき私はとんでもないミスをしでかした。
いつものように熊手を使っていたら何か臭い。くんくんと匂いをかいでみたら、糞のにおいがしっかりついているではないか―。そう、レア状態の糞をすくってしまったために、糞の成分が熊手に付着してしまったのである。
なんと迂闊だったことか。私は激しく呪った。猫にではなく、柔らかい糞をかすめてしまった自分の愚かさに対してである。そこで、糞をしっかり天日で乾燥させ、カチカチにしてから、捨てることにしたのですよ。ナーイスでしょ♪
ここのところ気温が高くなってきたせいか、完全に乾燥させたそれは、見事なまでに白色化して、石のようである。子供のころ、砂場で遊んでいてカチカチに石化された猫の糞を発掘して驚いたことはないだろうか?そう。まさにそれである。
 けれどこうとなっては、一時的にでも猫の侵入を禁止しなければならない。
猫の肉球をダイレクトに攻撃するという悪魔の兵器(トゲトゲがついた侵入よけ)を侵入経路と思われる箇所に泣く泣く配置した。
たかだか猫の糞といってもあなどれない。一見乾いたように見えても、慎重に裏返してみると、裏側はまだ半生状態だったりするからだ。ところがあっちこっちに乾燥中の糞を放置しておくと、恐ろしいことに庭作業の際にうっかり踏んでしまうのだ。 が、驚いたことにしっかり乾燥させていたものは、土のようにボロッと崩れただけで、靴の裏に付着しないのだ!シックシェイバーの「切れてな~い」の、あの抑揚で、「ついてな~い!」と私は小さく喜びの声をあげた。
 ここのところ肉球潰しの成果もあってか、じょじょに糞の数も減ってきた。ところがである。人間とは欲深なもので(あんたがでしょ)糞の数が少なくなってくると何とも言えず寂しいのである。
残り少なくなったかりんとうを惜しむように、今日も大事にコロコロと糞を裏返しにするのである。

※雨が降ってしまったのでこの計画は頓挫致しました。

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by novitama | 2007-05-26 01:31 | 日常